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一万一千本の鞭
 昨日も巻頭、更新しませんでしたね。これでここ連続二回、2日に1回の更新ペースです。非常によろしい。そのぐらいがやはり現実的ですよ。
 こうして近況駄文(日記)を書くようになって分かったんですが。意外と書くことはありますね。ネタ自体は沢山あります。問題はそれを文章にする時間が必要だってことで。そっちのほうが馬鹿にならない。なんだかんだ言って三十分〜小一時間ぐらいかかります(絵日記の人はもっとかかるんでしょうねえ)。忙しいときや眠いときは出来ないです。……みんな眠くないのかな。メルマガとかやってる人とか。洗濯とかいつしてるんだろ。
って書くとまるで私が洗濯する暇もない人みたいじゃないか。
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 さて。そんなことはともかくとして本題へ。最近読んだ本です。
『一千一万本の鞭』。ギョーム・アポリネール著、須賀慣(すがかん)訳、角川文庫、昭和五十年四月二十日五版、220円。ISBN不明。
 半年ぐらい前に古本屋で見つけた本です。古本屋といっても悪書も良書も105円で叩き売る黄色と青のファックオフではありませんファッキュー。古銭とか古切手とか古文書とか漫画とかエロ本とかファナティック、何でも売ってて小汚いファンタスティック、昔ながらの古本屋ですファンダメンタル。
 ……あー。普通の語尾に戻していいですかファルシオン?

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 話を戻します。この本どんな内容なのかというと。ひとことで言えば「好色大公お下劣漫遊譚」です。時代は日露戦争の頃、ですがそんなもんどうでもいい。火星植民地時代だろうが原始時代だろうがこの物語は成り立ちます。設定なんてどうでもいい。諸民族があって主人公がいれば行く先々でアレがどうなるというだけのこと。
 話の核は、アレです。おっ勃っちゃう話。ズコズコのああーとまあ、あまり具体的なことは書けないんですが(書きたくないんですが)少しだけ挙げると……《女の尻にナイフを刺したまま自分達は列車の窓から飛び降りて逃亡》《八歳の男女の結婚式》《父から息子へ根性棒》《体重をかけたため串刺しになる恋人》《傷口で遊ぶ看護婦》《鞭打ち合戦》《赤ちゃん奪取》……等々。いや、私の読み方がおかしいわけではなく、まるっきりこういう話なんです。

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 なんでこんな本を読もうと思ったのか。アポリネールが有名な詩人だから。この本が復刊希望サイトに挙がっていたのを思い出したから。興味を持ったから。カレーが辛いから。東幹久をトウカンキュウと読んでしまったから。ノーサンキューなアイニードゥだから。パチパチパンチはパツパツパンツやパコパコパン粉、パダパダパンダとどう関係があるのか疑問に思うから。安かったから。安全だから。天気予報が外れたから。以下割愛。
 ……駄文はさておき。まあ、興味本位ですね。古本屋に実用書を買いに行くもんですか。古本屋には掘出し物や貴書や奇書を探しに行くのです。で、こういう要らない本まで買ってしまって、ちょこっとだけ読んで、半年放置されたりするわけです。
 そして先日、思い出してまた続きを読み始めて……読み終わりました。話に脈絡が無いので(褒めてます)スムーズに読書再開できました。主人公が行き当たりばったりで強烈なので(褒めてます)あまり深く考えずに読めました。

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 面白かったか、と言われれば……うーん、どうなんだろう。私は楽しいと思ったけど。まあ、有意義ではないですね。教訓とか求めちゃいけない本です(なんか以前も書いたなこんなこと)。
 怒りっぽい人は読まないほうがいいかも。むっつりスケベで気弱でシャイなボーイ、あるいは実は私っておかしいのかしらと悩む耳年増なガールに贈るビーアンビシャス、って感じかな。あるいは社長夫婦に今夜あたりどうだと思わせてしまう右ストレート、文学少女を女王様にスカウトするある種のセクハラ、そんなところでしょうか。まさか。どないやねん。

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 ……この『一万一千本の鞭』、検索してみたところ自主翻訳したテキストを公開しているサイト(こちら『ふれんち・えろちか』)がありました(18禁ですので良い子は大人に読み聞かせてもらって下さい)。実際に読んでみると奇書っぷりが分かると思います。「この暑い日本の熱帯夜にこんな本読んでたなんて若原くいあらためろ」と思うこと請け合いです。

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 さて、今日の一枚……は長くなったので無しです。
 それにしても、こんな話題の時だけガンガン筆が進む私の駄文能力は非常に深刻な問題を含んでいるのではないでしょうか。ナンセンス小説でも書けばいいのかもしれませんね。ふう。
2004-07-21
(c) Mitsuhiko WAKAHARA