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作業・見るともなく
 さいきん知った言葉──

【サバービア】。アメリカの、都市郊外の中流住宅街のこと(映画『シザーハンズ』に出てきた町なんかをイメージしてしまったけどそれは違うんだろうな)。

【マッチポンプ】。慣用句。自分が起こしたもめごとを自分が収拾し利益を得ること(自分でマッチを使い着火し自分で消火ポンプを用い鎮火するさま、が原義)。

 ──ふうん。ふうむ。

   *

 毎回毎回、日曜日ってこんなだったっけ? ……とにごった頭で推敲作業をしてました。『めろめろ』の提出〆切が日曜であるため、作業がこん詰まってくるのも日曜です。
 冷静に考えるとじつに馬鹿馬鹿しいことを一日やっていました。あまりこういう裏側は暴露すべきでないのかもしれませんが……具体例を挙げると──

「ここから急にこうなるのは唐突か」「ここは長いがこれしかないか」「ここは『街なか』いや『地下鉄』それとも」「蛇足かもしれないが構造的にもわかりやすさを補填する部分を付け加えるべきか」「気づいた人にはわかるのだがそれは是か非か」「ここは文法的におかしいが表現的にはこれでいいのか」

 ──など。自分で自分の詩作を評論しながら推敲してたわけです。何でそんなことになってしまったんだかわからないんですが、なぜか気付いたらそうなってました。物足りないだのわかりづらいだの何がいいたのかとか、題材を活かしているかとか、細かなことをうだうだうだうだと。仮完成しては、プリントアウトし読み返してチェックを入れる。何度も何度も。
 日曜日に限らず、ここ数日そんな調子で作業してました。三作同時進行で。さらっと書けばさらっと自然にまとまったかもしれないものを、性分なのか癖なのか、理詰めで挑んでしまい──

「ここは『画家』だとインパクトが足りない。『作詞家』だと大人っぽすぎるしお金持ちのイメージがしてしまって流れと外れる。『ダンサー』『ギタリスト』じゃ垢抜けすぎてる。『哲学者』『宗教家』じゃ意味不明だ。単に『作家』だと対象がボケてて印象がわかない」

 ──とか。たった一語に数時間、愚にもつかない事を毎日毎日……。いったい何をしていたのやら……。

   *

 詩作中は熱中してるから「あーでもない・こーでもない」と楽しいんですけど。しばらくすると作業に終わりが見えなくなるんです。定型詩を書いてたときは(起承転結などをガイドラインにして)、どこに何が必要か、全体がどんな構成を織り成すか、いつも見えていたんですけど。自由詩や朗読作ではそれが見えません。どうオチるのか。どこまで題材が活かし切れたら終わりなのか。どこまで臭みを取れたら完成なのか。さっぱり見当がつかなくていつまでも細部を触り続けてしまう。

 なんというか、熱中はしてたけど充実感はない……集中はしてたけど実感はない……ほんと延々と「作業」をしてた、という感じの日曜日でした。そういえばさいきん定型詩を書いてないな。残り二作をさっさと仕上げて早く元のペースに戻りたい……。

   *

 さて、今日の一枚です。
 少々前に撮った光景です。7月中旬頃だったでしょうか。空にぽっかりと穴が開いてました。「目みたいだな」と思いました。
 空の雲が動物などに見えたりするのは一般的です。しかし逆も言えるわけです。空の晴れ間が動物に見えることもある。
 見ているものが見えている時、見えているものが見えていない。見るともなくただ見えている時、見えないものが見えてくる。……なんてね。そう哲学的に解釈することでもないんですが。
2004-08-01
(c) Mitsuhiko WAKAHARA