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詩人vs歌・他
 台風、すごかったですね。って、天気図を見るともう次の台風が図内に入ってました。こんなに台風だらけだったっけ、日本って。いくらなんでも連続しすぎですよね。地震も。

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 そうそう、コンビニでもう肉まん売ってますね。サークルKではおでんももう始まってるらしいです。早いなあ。と思いつつ、ファミリーマートで肉まん買って食べました。うん、ホクホクと普通においしかったです。おいしいもんはいつ食べてもおいしいのよ(笑)。

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 菅野よう子の『攻殻機動隊SAC O.S.T.2』を買いました。アニメのサウンドトラックCDです。
 この人の『アルジュナ』のサントラはもう100回以上聞き倒しています。アニメの音楽というと派手でメリハリの激しいものを想像されるかもしれませんが、この人の音楽は上品で、抑えられていて、飛ばしすぎない感じがするので好きです。それでいてただのBGMに埋没しない、歌として聞ける自己主張の強い所もあるんです。
『攻殻機動隊SAC O.S.T.2』……さっそくこれ書きながら聞いてますが、とても良いです。ライナーノートに載っている原詞(主に英語)とその訳詞にもかなり惹かれます。とにかく上品なんですよ。このCDも長く聞けそうです。

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 7日、clubBLさんでの『詩人vs歌』ですが、私の朗読はボッコボコの結果でした。ひさびさにあからさまに確実に問答無用に大スベりしました。いけるだろうと思っていたのが甘かった。声は出てないし、距離が近いのに客席の反応が読めないし、噛むしキレないし自己紹介もグダグダだし死んで来いコラ。という。
 出てらした歌の方々はちゃんと技術があって、馴れた感じで、本当に良かった。うまかった。加久さん、ASSMAさん、レモンさんはあの場を盛り上げるフレンドリーな朗読だった。BLさんを楽しんでる様子があった。……のに対して、私だけ浮いてたんですよね。態度でも内容でもレベルでも。場に合わせる柔軟性も無ければ、我を張ってバンと見せるパワフルさも無かった。1人ナアナアなのが混じってる、という状態。
 まあもう反省はこれぐらいにしますが……。最近自分の弱点や方向性に自覚的になっていて(去年はそんなこと考える暇もなかった)。分析していくと精神論(心構えや詩作の方向性・姿勢など)や生活環境にその原因があることが分かり、結局問題は「朗読詩人として人生賭ける気あるのか?」という所に来る。時期なのか、……。

 さておき。弾き語り、とてもよかった。それぞれ、歌いだすと急に顔の筋肉がイキイキして、空気感がガラッと変わって。さすがでした。個性的で、練習積んでて、気合が入ってて、堂々としていました。台風のせいかな、お客さんは少なかったですが質は高かったです。楽しめました。
 関東から来てらしたdetune(でちゅーん)さんが特に好きでした。ギター1本の演奏なのに、ベースやドラムが脳内補完されて聞こえてくる感じでした。歌声は中性的で、繊細さと安心感の両面がありました。詞もよかった、「キューティクル」「ミリバール」といった語が映えていました。

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 さて、今日の一枚です。
 名古屋の大曽根で見つけました。「○○ハウジング」という不動産会社の事務所入口です。ぱっとみ「ハウヅング」に読めてしまいます。「ハウゾング」にも見えます。「こんな所に不動産の世話してもらって大丈夫かな」という不安が沸いてくる門構えでありますね。
 そういえば私はよく「もっときれいな字を書け。頭がよく見えて得だぞ」と国語教師から言われていました。私の悪筆はちょっとしたものでしてね。まあ自分で自分の字が読めないことはさすがに無いです。98%は読めます。
 ……ま、松尾芭蕉だか森鴎外だかも言っていましたが。「文字なんてのは書けば書くほど汚くなっていくもの」です。記述量と速度が高まるにつれ、要所以外の部分が省かれ、崩されてゆき、筆記体になっていく。実用的な言語として洗練していくのです。
 悪筆は混沌ではありません、洗練であり昇華です。ナウシカも言っています「じじいの手は醜い手だが働き者の手だ」と。きたなく醜い形こそ使い古された証。悪筆ばんざい。ハウヅングばんざい。
2004-09-08
(c) Mitsuhiko WAKAHARA