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短詩・未詩 未整理5
嘘を書くな。
 
って書こうとして、それも嘘だと気づいた。
つくづく、他人っていいかげんだよね。
書くことがなくて、メールの終わりに「がんばります」って書いた/書かれた。
あいさつ、ってやつ。ふかい意味はない。
 
でも、メールに書いたことは、約束したことになるからね。がんばります/がんばって。
誰かの言葉を借りるなら
「美しい夢というやつ」で
誰かの言葉を借りるなら
「胡蝶が見ている夢ごと」で
誰かの言葉を借りるなら
「子供が良くやるままごと」で
誰かの言葉を借りるなら
「それでも地球は回ってる」
六歳も空はあったこと
虹のことをまだ憶えてる
過ぎてゆく 幾つもの歌
ふたつだけ 選び取れずに
ほとんどを 舐めては捨てた
執着を 持ちきれぬまま
 
噛みすぎた ガムは灰色
寝つぶした 枕に凹み
明日また 新しいもの
何かほら 見つけなくては
 
埋め切れぬ 隙間に注ぐ
金で買う ひとときがある
コーヒーを 映画を本を
その中に 自分を探す
 
過ぎてゆく 幾つもの歌
救われて それも忘れて
ほとんどを 費やし消した
捨てるため 買ったみたいに
埼玉うまれのレールガン
ダブルオーバックライオット
32発のホームラン
5月9日のサブミット
コマンタレブーのド畜生
地獄に落ちてもはす向かい
手紙でやり取り秘密基地
鳩の足首に命づな
看板をなめるヌルい雨
弾幕を避ける2面ボス
他人の言葉は信じない
調子いいだけで慰めにならない
しかし言うだけのナリフリならいい
察しが悪いそんな風がいい
 
一般論しか言えないカタブツ
理想論でしか触れないハチミツ
甘いよとってもすまいよ私は
うまいよこの酒メマイよ悲しいわ
 
考えないのが考え
風来坊たるオーライ
どうだい下らないステージにグッバイ
風雷無宿のライムでサバイブ
 
考えないのが考え
流れをマクラに癒され
どうだい下らないコテージは売買
長めのふっくらなソックスでダンス
明日の降水確率は90%だ
泣きたいやつは部屋にでも居やがれ
こちとら現場には人間しか要らん
薙ぎ払っても薙ぎ払っても一日は一日
 
トラックを走る長距離走者より
ドリフトをかます爆風になるよ
発射台から捨てるロケットなんかより
一石二鳥の石ころになるよ
 
そのリボルバーは365連発
命中率は誤算
毛の生えた心臓で股間も黒々
何だよ黙って貴様は地蔵か
 
そのリボルバーは365連発
下手な鉄砲もかず射ちゃ危険
斜め下からのアングルが好きさ
笑いになるなら踏まれてもいいや
逃げるな。はけろ。
土足で踏み込まれた所を、
かがんで拭く。
 
屈辱とは辱しめに屈すること。
 
水を含んだ雑巾が重い。
立ち上がれない。
途切れたフィルムを繋げるように
途絶した冬を接続する
何も新しくなどなってはいない
 
何も
そんなものは
錯覚だ
 
古いカレンダーを捨てない
冬は冬だ
 
   *
 
使用期限切れの薬
気にせず飲めばそれなりに効く
この地方の冬は厳しいので、
夜、鉛筆を外に出しておくと
朝にはツンツンになっている。
 
郷土の文豪、鴨居七六は
その書き味を大変に愛した。
「詩は釘で書け」
彼が最も好んだ一語である。
空に鳥を探すな
森に探せよ
小さな絵本を5冊もらった
4冊を4人にあげた
1冊のこった のがわたしのぶん
ではなくて わたしにあげたぶん
わたしがあげた ぶん
に絵がついてが絵本になって
5冊をもらって5冊をあげた
もらって あげて あげて もらった
鬼五匹
殺せし誰も鬼に成り
傷は浅いが
これは冬ではない
僕は眠い
とても眠い
 
皿も手袋も眠る
凍れ斬鉄
大きな声で痛がれば
みんなが心配するという
大きな声で謝れば
みんなが優しくするという
 
私は黙って耐えている
私は犠牲になっていく
大きな声で子が泣けば
親は加害者になるという
殺陣の眼
出来る
長い影を引いて
歩み寄る冬
 
ポケットにのど飴
しのばせて行った
 
爆弾魔のニュース
あれは俺だ
 
鼻腔の虫一匹鳴いた
磔刑オリオン
紙オムツに描かれたキャラクターは愛らしいが
その絵の意味を 赤子は知らない
 
あれは汚物処理をする親の心を
和ませるために描かれてあるのだと聞いた
しあわせなやつだな
注文しますがよろしいか
しあわせなやつだな
願っていいか期待していいか
しあわせなやつだな
何が望みだか漠然としてるが
しあわせなやつだな
しあわせなやつだ
 
ああとてもしあわせなやつだ
しあわせなやつをひとつくれ
8年間部屋の中で過ごして
勇気を持って飛び出したら車に轢かれた
人生って何だとかお前が言うな
奴はまだ生きているのだから
 
ギャングになりたかったけど
そんなこと文集には書けるはずが無い
医者か弁護士になってギャングを倒し
政治家になってギャングに戻るのが夢だ
 
というよりもオチだ というよりもオチだ
その階段を昇るなら帰りのことも考えろよ
というよりもオチだ というかまあギャグだ
どもありがとうございましたって漫才師ペコッとおじぎ
 
ランチャーを注文したからもうすぐ届くだろう
非常階段にヘリを呼んでおく
暗記済みの楽譜は置いてくるんだ いいな
東京を通さずに有名になろうな
おかま口調でしゃべる事と、
おかまであることは別なのよ。
 
私はおかまじゃないわ。
でも時々こうするしかないのよ。
 
ちょっと手を洗ってくるわね。
ro - ma ha i ti ni ti ni si te na ra zu .
 
pa nn to sa - ka su.
映画を観て
 
俳優を観なかった
 
僕はとても幸せだった
アンドロイド出身の火星育ち
畑で育って倉庫に住む
雨が降ったらカビをおそれて
収穫のためには地中も使う
 
水鉄砲で倒せる相手さがしに行こうか
フラワーは気楽な花 咲くのがうれしい
 
ベッドサイドに常備のナースコール
地球の裏から駆けつけてくる月
星では足りない暗くて冷たい
雪が降るのなら明るくて寒い
 
豆鉄砲で武装する僕らは軍隊
プラチナは冷たいやつ 水銀灯の下
お料理に
 
味がある
 
当然といえば当然だけど
外にも世界があることを知って
飼い猫は迷い野良犬は臭う
どんな世界かと籠の鳥が聴く
爪がないならと誰かが答える
 
外にも世界があることを知って
月面の先へ海溝の底へ
どんな世界だと八百屋が尋ねる
信じやしないとあんたも裏切る
「最高の装甲は回避である」
そんな言葉をどこかで聴いた。
 
もっと小さく。
もっと細く。
すべての糸に絡め取られない。
 
透明は自由の色。
風は無色。
真夏が終わるとそのあとに
心にすきまがうまれると
肺が空洞に押されると
息もむずかしく感じると
 
花が枯れるのは当然と
日が沈むようなものだよと
歌に長けようとセミ達に
キリギリス達に死期が来て
羽根あれば
空とぶものと思われて
月の低さが
赤さになって
酸素の星で
錆びてゆく
 
クジラが浜に
うち上げられて
息をしてたと
いう話
南国 砂浜 熱風 日射
やしの木 さわがに サンダル
 
時計なんて 信用しない
陽が傾くだけ
 
缶ビール ハンモック
貯金箱に音を入れる
鉄クズが重なる
廃車置き場はジャングルジム
猿の幽霊が住む
眼鏡の中で目玉が濡れる
耳に闇が聞こえる
ここから先に進みたいなら
200円玉を持ってくること
本棚の本が古びてゆく
ひだりから順に 一年 二年
プレミアが高まる 心の中で
産物はみんな骨董になる
 
小さなタイルを並べて作る
モザイクは離れて見たときに分かる
なぜそうなるか 説明できず
月のみちかけ だまってみてる
 
なぜそうなるか 説明できず
天気予報を 信頼してる
 
なぜそうなるか 教えてくれる
彼の話は 長くてクドい
 
なぜそうなるか 説明できず
今日で3日め 少食の夜
影踏みに
興じているよ
ひなたの子
(c) Mitsuhiko WAKAHARA