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とてもかわいい女の子になりたい
とてもかわいい女の子になりたい
とてもかわいい女の子になりたい
とてもかわいい女の子になって
着ていく服に悩んでみたい
花屋さんでサボテンを買いたい
図鑑をめくって目を丸くしていたい
 
とてもかわいい女の子にはすべてがあるの
フリルもあるしレザーもあるの
デニムだってシルクだって
サンダルだって
アイスクリームだって
雑誌だって
ロックバンドだって
とてもかわいい女の子のためにあるの
とてもかわいい女の子に不可能はないの
怪獣だって飼いならすの
首輪つけて街を散歩するの
とてもかわいい女の子には簡単なことなの
とてもかわいい女の子は無敵なの
とてもかわいい女の子の前では
みんないい子になってしまうの
嘘なんかつけないの
とてもかわいい女の子には全部お見通しなの
ひとには親切にしなくちゃいけないの
でもたまにいじわるもするの
とてもかわいい女の子は正しいの
泣いても
笑っても
なんだかわからなくても
とてもかわいい女の子はとてもかわいい女の子だから
平気
なにも心配することなんてないの
 
とてもかわいい女の子になって
化粧品の話をしたり
日傘を買ったり
約束を忘れたり
紅茶をこぼしたりしたい
ドキドキしたい
キラキラしたい
そういうものを身につけたい
とてもかわいい女の子にしかないようなものを
 
どうしてみんな暗い顔をするのかしら
みんなとてもかわいい女の子になりたいと思わないのかしら
なろうとしないのかしら
 
ある漫画家が言ってたんだけど
永遠なんか求めちゃいけないって
それは作品を腐らせてしまうって
だから自分は永遠を求めないんだって
 
どうしてそんなことを言うのかしら
わたしは永遠になりたいな
キラキラしたい
ドキドキしたい
ハラハラさせたい
みんなそうでしょう
 
もし
とてもかわいい女の子になれなかったらどうなってしまうのかしら
誰がどんなことを言ってくるのかしら
何をしなければならなくなるのかしら
あの漫画家みたいになってしまうのかしら
怖いわ
とても
とてもかわいい女の子以外のものになんてなりたくない
 
学年に必ず一人とてもかわいい女の子がいて
なぜかみんな一、二年のあいだにいなくなってしまったの
どこへ行ってしまったんだろうってずっと思ってた
とてもかわいい女の子だけが行くところがあるのかしら
それとも
しあわせにしてればいいけど
(c) Mitsuhiko WAKAHARA