トップページ ≫ 自由詩 ≫ 僕らの昭和
僕らの昭和
ランドセルをしょって
ランナーを歌いながら
空きカン蹴り転がし
帰ったら水を飲む
 
学研は読み飽きて
パーマンは嫌いだから
いつぞやの菓子のおまけの
プラモのバリを爪きりで切る
 
貸したファイファンが返ってこない
見逃したドラマの最終回が見たい
宿題が簡単すぎてやりがいがない
ルス電よりビデオデッキ買ってほしい
 
お金があればなんでもできるらしい
おばあちゃんはいつ死ぬんですか
習字教室なんか行きたくないです
夢がみたい空とびたいサイキッカーになりたい
 
毎日そんな調子だった
誰もがナアナアだった
目標なんてまるでなかった
現実味に欠けてた
 
それが僕らの昭和だった
誰になんと言われようと
いま首相が誰だろうと
きみが十四歳だろうと
 
あれが僕らの昭和だった
嫌な予感はしてた
でも同じくらいにはね
選ばれた自信もあったよ
(c) Mitsuhiko WAKAHARA