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真空域へ
闇の中で歌を歌った
それは澄んでよく響いた
この世界に自分ひとりしかいないとしたら
最初の二週間は天国なのだろう
 
残される気分は痛いものだった
罰だと呼べば軽くなる気がした
そうして自己をいやしめてゆく事になる
暗示に依存しからめ取られてゆく
 
迷うという語の対義語はなく
生きてゆく限り不確かは深まる
保留された謎が癌化する前に
限界の肉体を去らなければならない
 
銀の英雄の後を追おうと思う
守るものが無いときには人は学ぶことができる
いま恐れるのは傷つくことをじゃない
少しづつ時間が無くなってゆくことをだ
 
支度すれば荷物は意外と小さいだろう
途中で不足は補えるだろうか
今日の空は二枚ないと言ったのは誰だったか
最も古い謎はどこへ向かってゆくのか
(c) Mitsuhiko WAKAHARA