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龍がどうしても
ある日の夕暮れ
龍がどうしても
この世界を滅ぼすと言うので
残念だけれど好きにすればいい
と僕は言いました
 
龍がお前は
本当にそれでいいのかと言うので
どうしてそんなことを訊くのと
僕は言いました
 
僕は
この龍は悩んでいるんだと思ったので
あなたみたいな人でも悩んだりするんだ
と言うと龍は
私は人ではないから
と言いました
 
人ではないから何だろう
と思いましたが
僕は
人に意見を求めるってことは
人の考え方に近づいているのかな
と思いましたが僕は
何も言いませんでした
 
夕日は山のむこうに隠れて
西の金色は一段あわくなりました
龍の瞳がうるんでいたので
僕は
力になれなくてごめん
と言った気がします
(c) Mitsuhiko WAKAHARA