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短歌 未整理3
癖髪を
ときつ見つけし新ニキビ
ここに始まる
今日の憂鬱
「宿題を
せねば夕飯ぬき」と母
なにもそこまで
言わずともよし
 
叱られて
腹の立つのをこらえつつ
数式を解く
いもうと憐れ
盗賊と
おぼしき群に金を出し
命あっての
キャラバンは行く
彼岸花
毒草だとは存するが
その毒性は
いかほどなるや
……
奴を殺すに
足りうる程か
安らかな
寝顔を猫に教わりぬ
渾身の
白球がいま空に消ゆ
青き眩しき
球児の空に
宿題を
済ませし者に許されし
夏の終りを
かみしめる日々
肢体よし
五臓六腑に異常なし
至る所に
アザは残れど
わくわくと
心踊りて落ち着かぬ
慌てるなかれ
逃げぬ楽しみ
円刃が
回る機械に奪われし
工員職と
右手親指
名の割に
勢いのない花火なり
「ドラゴンファイア」
(510円)
うたたねに
きみのことなどゆめみたよ
めがさめるまで
ゆめときづかず
夢でのみ
会えし人など過去に有り
一〇円の
切手を五枚 貼り付けて
宛名 書く場の
狭き絵葉書
魂が
ゆこうゆこうと言っている
心はそれを
じっと見ている
(……体は時が
過ぎるのを待つ)
 
魂が
おもむくままを述べている
心は黙し
ほほ笑みもする
(……体は時が
過ぎるのを待つ)
何度でも
治るできるを繰り返す
憎らし憎らし
にきび憎らし
こころよく
出した尻ふく紙が無い
駅のトイレの
都会の孤独
いちじくの
いちじいっくをいじくって
いちいじくって
いいちじくとす
鮮やかに
私の嘘を見抜くとは
さすが君なり
なんでわかった?
いたずらと
冗談好きの友を持ち
苦労しつつも
楽しかった日
飛行機の
窓側の席 得ていれば
君の住む町
見えたものかも
意図もなく
ひとの不幸を願う前
切に祈りし
われは優しき
慰めの
下手な二人に育てられ
何も言うまい
慰み者よ
砕けろよ
夢の名残もこの指も
この胸を
メスで刻んでえぐり出し
河に投げ捨て
夕日 眺むる
(c) Mitsuhiko WAKAHARA