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雪の昇天
雪がはらはらと舞いおりて
街じゅうに淡く降りかかる
粒はどれもみな純白で
無垢と純潔を思わせる
軽く柔らかな身のこなし
羽毛と見まごう その姿
甘く安らかな印象に
反し温もりを知らぬ雪
 
雪はしんしんと降り積もり
街じゅうに重く伸しかかる
かつて白かった粒たちは
地にて泥水に侵される
美しいままで居られない
けがれた地上を拒むよに
堕天した雪がまたひとつ
僕の手のひらで消え去った
 
それは儚なげで哀しげで
神聖な葬のようだった
(c) Mitsuhiko WAKAHARA