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ボーリング・フォー・田中
 近況。偶然テレビを点けたら、NHK教育でパソコン講座をやっていた。メールソフトの使い方をレクチャーしていた。……マイクロソフトの『Outlook Express』が使われていた(それは別にいいんだが)、プレビュー領域が出ていた。メール作成画面はHTMLメールだった。複数ファイルをひとつづつ左クリックで選択していたが、Ctrlを押しながら選択するということは解説されていなかった。……おいおい、大丈夫なのかそんなことで。
 しかし自分のことを省みると、そんなものだったかもしれない。多少の入門書は買ったが、CtrlやAlt、右ドラッグのような超基本的なことはさすがに書かれていなかった。どうやって何から覚えたんだろう。みんなはどうやってきたんだろう。

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 近況2。最近知った言葉──

【ペーソス(pathos)】物悲しさ。哀愁。
【パトス(pathos)】ギリシャ語で受動の意。外界を受容して内面に生まれる心的状態。感情・感動・情熱など。

──はあ。なんか不思議だ。

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 近況3。先日録画しておいた映画『ボーリング・フォー・コロンバイン』を見ていた。1時間が過ぎ、マリリン・マンソンのインタビューが終わり次のシーン──

女子1「あたしは、ニコール」
女子2「わたしはアマンダ」
ムーア「コロンバイン高校の生徒?」
女子「(二人同時に)そう。」
ムーア「エリックとディランを知ってる? クラスメイトだった?」
女子1「ええ。ボーリングの授業でね」
ムーア「ボーリングの授業?」
女子1「ええ」
ムーア「それってどんなの?」
女子1「ええっと……体育の授業で、選択科目だった」
ムーア「それって、教育的な価値ってあるのかな」
女子1「えっと……なんにもないと思う」
女子2「ない。なんにも(笑)」
ムーア「それで君たち……」
女子1「とりあえずボーリングを」
爆笑問題田中「五月十日、貴超えた三十一連勝、朝昇龍」
効果音「ピンポーン!」
爆笑問題田中「よっしゃあ!」
アナウンサー「さあこの記憶バトル、勝負は六月ラウンドに入ります!」

若原光彦「なんじゃそりゃぁあああああああ!!!!!!」

──ビデオ録画をミスったらしい。不要な予約設定を解除し忘れていたため、映画の録画は1時間で中断され、そこからは興味ないクイズ番組が録画されてしまったらしい。
 最初は呆然とし、激しく落胆し、そのあとしばらく立ち直れなかった(やっと今この話を巻頭近況のネタにする元気が戻ったところ)。お茶も灰皿も用意して意欲的に見てたのに。なんかもう明日から爆笑問題が嫌いになりそうだ……。

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 ああ、こんなことばかり書いてるといつまで経っても鳥取砂丘のレポートに進めない……。それはまた後日。

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 近況4。知人がオーストトラリアからの土産をくれた。カンガルーのジャーキーだ。入っていた乾燥剤にはこう書かれてあった──

たべられません
電子レンヅ不可

──レン「ヅ」って「ジ」を間違えたんだな、きっと。お約束過ぎて面白くないなぁ。
 と、ここでふと気づいた。これはもしかして、観光客に対するオーストラリア流のサービス精神なのでは。観光の醍醐味のひとつに「ツッコミどころのある土産もの」があるが、そこを狙ってわざわざこんなベタベタな誤植を入れてみたのでは。やるな、商売上手。
 ……って、考えすぎだと思うが、そう考えると楽しいのでそう思っておく。これは誤植ではない、善意なのだ。地球は丸いし人類はみな兄弟だ。来客には親切にするものだ。

 カンガルーのジャーキーだが、味は普通のジャーキーだった。

   *

 さて、今日の一枚はお休み。
 ところで、前回、今回と掲載した写真は今が旬の彼岸花。最近あっちこっちに群れて咲きまくっている。どこに咲いていても、どんな遠くからでも目立つ赤。毒々しいというか、あでやかというか、どこか異物めいた赤色だ。オハグロトンボの黒色に通ずるものがある。浮世離れしていて好きだ。
 まあ、不吉なイメージのする花ではある。葉がなく首だけ伸びている姿もそうだし、炎のような形状もまがまがしい。根には毒もある。小さい頃「飾ると家が火事になる」なんて迷信も聞いた事がある。
 でも先日NHKで言っていたのだが、彼岸花ってもともと人間の手で植えられたものだそうだ。根もよく洗って煮込めば食べられるらしい。ふうん、わからないものだな。
 自然の野草にもみえないし、人工的に育てられたようにも見えない。彼岸花は彼岸花。ゴキブリやカラスのような「地上が壊滅しても生き残ってそうな生物」の印象がある。強い個性を感じる。好きだな。
2004-09-22
(c) Mitsuhiko WAKAHARA