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虹・煙草・副虹
 今回掲載している写真は、虹です。台風21号が過ぎた翌日の朝に「雲のまだらがめっちゃすげえ!」と東の空へカメラを振り回していて。ふと西をふり返ると、朝日で180度の虹が出ていました。とても大きな虹だったので、全体はフレームに収められませんでした。ちょっと残念。
 きれいでした。15分か、もっとか……けっこう長い時間でていました。

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 あっ。文調が「〜でていた」じゃなく「〜でていました」と「ですます口調」に戻ってますね。まあいいや。今はあまり気張りたくない心境だし。今日はこのままです。

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 鳥取砂丘記がひと段落してやれやれです。思い出したけれど説明がややこしいので書かなかった部分も結構ありました。思い出せなかったので書けなかった部分もありました。
 正直、あまりイベントのレポート(感想)って好きではないんですよね。いや、イベントに限らず、形に残る言葉というのが全般に苦手なんです。掲示板とか、メールとか。「意味のあり過ぎる文章」を残すのが怖いんですよ。あとになってどう誤解されるか分からないし。
 私は、どうでもいいもの、どうとでもとれるものが好きなんです。駄文や寓話や詩を書き、コラムや小説が書けないのはその辺に原因があるんだろうと自覚してます。
 ま、鳥取砂丘記は書いててハイになれたし、読んで面白がってくれた人もいたみたいだしOKかな。後半はやっぱりもっさりしちゃったけど。

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 先日、ドアベルが鳴ったので出たら布教活動の人でした。「〜の者です、ちょっとお話させて頂けないかとお伺いしました」『は、はあ』「本とかよく読まれますか」『はい、まあ』「じゃあ本棚にたくさん」『いや、床に積んであったりもしますけど』などと少し立ち話をしました。押しが強いわけでも眼に変な光があるわけでもなく、落ち着いた感じの、三十代の男性でした。
「さいきん凶悪な事件が多いじゃないですか」『そうですか? まあこの9月前半はちょっと立て続けでしたけど』「そうですか」『はい』「いま世の中が不安な方に向かってしまってますよね」『どうなんでしょうねえ』「今ここは平和ですけど。何か考えたりされますか」『何かって……まあ、ここは平和で、私は日本人で、すぐ海の向こうでは餓死者が一万人単位で出ていて……NGOとか活動されてる方もいますけど私はそんなこと出来ないし。でも日本人は金持ちなんだから、月に一万円でも寄付するとか、そういう地味なことでもすべきなんだろうけど』「ああ、深く考えてらっしゃるんですね」『そうですかね……無力感みたいなのを感じてます』「哲学とか勉強されたんですか」『いや、勉強ってほどでは』「やっぱり本を読んで?」『はあ』
「聖書などに興味はありますか? よろしければこういう本もどうぞ」と機関紙を出し、その人は去って行きました。礼儀正しい、わりと普通の人でした。あの人、なんで布教活動までしてるんだろう。教徒でいるだけじゃ駄目なのかな。信仰心と組織維持は別問題なのかな。よくわからないな。
 もらった機関紙をちょっとめくってみましたが、何かにつけて「そんな時、聖書にはこうあります」と締めくくる内容でした。紙質は悪いですが、カラーでページ数も多く、お金がかかってそうです。よくわからないな。

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 最近ヘビースモーカーになってます。一本くわえ、燃え尽きるとまたすぐ一本とり出す。書き物をしている時でも、テレビを見ている時でも、自室に居るあいだずっとです。
『tamatogi』『鳥取砂丘』では、煙草を吸える場面が多かったので始終吸ってました。煙草をくわえていると間が持つんですよね。うまく黙れて、うまく話せる。落ち着いたポーズも取れる。薬剤として煙草を摂っている訳ではなく、ある種のグッズとして使っている。吸えないからといってイライラもしない。美味いとも不味いとも感じない。ただ吸う。
 ……どういうことなんでしょうね。なんで煙草なんか吸ってんだろ、金の無駄だな、とは思うんですがね。神経をゆるめたいという欲求があるんだろうな……煙草程度じゃ全然ゆるまないのにね。少しはリラックスできるけど。

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 さて、今日の一枚です。この一枚は、現象がわかりやすいように色調補正をしています。画像をクリックすると元画像が見れます(800px×600px・30KB)。
「副虹(ふくにじ)」という言葉を知っていますか。はっきり見える「主虹」の隣にうっすらと見える虹のことです。まれに見られる現象です。なんでも副虹の方が光の屈折回数が多いらしく、そのぶん薄く見えるんだそうです。
 この写真はその様子です。話には知っていましたが、実際に見たのは初めてでした。言われなければ気付かないぐらいの薄さです。主虹は180度くっきり出ていましたが、この服虹は端のほうに少しだけしか現れていませんでした。主虹に目を奪われていては気付けなかったでしょう。カメラを持ってきょろきょろしてたのが幸いしたんでしょうかねぇ。
2004-10-03
(c) Mitsuhiko WAKAHARA