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ホーム&アウェイ
ここは地球だが誰にとって不利だ!
 
   *
 
一日一個の日が沈む
焼け焦げた日もあれば半熟の日もある
寝ているあいだも時間は進む
生きてさえいれば老人になれる
 
儀式のように目覚ましを殴る
にごった頭に電流を流す
指紋で汚れた眼球を洗う
身のたけに合った衣服に収まる
 
保証書を失くした巣箱に住む
賞味期限切れの歌を歌う
六年履いてる靴があって
羽根の使い方をそろそろ忘れる
 
人間の数だけ視点はあって
みんな自分は色弱じゃないと思いこんでいる
現在位置からはいま何が見える
その鮮やかさを説明してくれる
 
屈折するから虹色に見える
ガラスのコップに光がさしこむ
角度によっては世界は眩しい
すべての物体が日時計になれる
 
モアイ像はどこか遠くを見ている
墓石にだって耐用年数はある
飛べるようになって初めての冬
つき動かされて渡り鳥は飛ぶ
 
どこかはどこかとしか呼べないようなどこか
いつかは過去をも含めたいつか
脳が見るものが夢
眼で見るものが光
 
時間が経ってから輝きが増してくる
ひとばん寝かせたカレーが美味しい
生活の基本は繰り返すことで
脱獄の基本は寝る間を惜しむこと
 
同じことばかり繰り返しやってると
ものの良し悪しが分からなくなってくる
人間も二十四年やってると
善悪とか語れなくなる
 
誰かの頭の中で誰かが活躍する
ボールを取り合ったり棒を振り回したり
そもさん せっぱ とか言い合ってみたりする
クールだとかホットだとか自販機から出てくる
 
ジャッジがいるからゲームは成り立つ
白線から外へは出てはいけない
呼ばれるまで席を立ってはならない
順番が来たら逃げてはならない
 
そこがどこだろうとやることは同じ
ひきだしが少なくて飽きられたら終わり
閉店セールを十年やってる
もちろん明日も九時から開いてる
 
看板を立てて幕を開ける
勉強させて戴くと赤字になる
出血したから輸血が要る
住所が無くても救急車は呼べる
 
理由はどうあれ結果が決まる
他人の不幸に花を持参する
秋の数だけ収穫はある
夕日の数だけゴールが見える
 
童心に返る自由さも無くて
逃げ込むように眠りに入る
一日四時間仮死状態になる
心臓が止まれば確実に死ぬ
 
一日一個の日が昇る
どんな日になるかはまだよく分からない
とにかく動けば何かに出会う
生きてさえいれば老人になれる
 
   *
 
ここは地球だが誰にとって不利だ!
(c) Mitsuhiko WAKAHARA