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漂泊
甲板のうえの月の美しさを
誰に説明しようとも思わない
夜は静かに 深く流れ
奥底で哀しみの声も消える
 
 放物線を描いて吸われる
 散らかした記憶
 無かったことにされてゆく
 それもいい夢
 
告げられてみたい時
痛みはそれほど邪魔ではなかった
手持ちが尽き 黙り込み
歌を忘れながらであっても
 
 海のど真ん中で蝶を見た
 あれは誰の魂
 ざめざめと震え続ける
 足取りの無さは何
(c) Mitsuhiko WAKAHARA