トップページ
≫
自由詩
≫ 漂泊
漂泊
甲板のうえの月の美しさを
誰に説明しようとも思わない
夜は静かに 深く流れ
奥底で哀しみの声も消える
放物線を描いて吸われる
散らかした記憶
無かったことにされてゆく
それもいい夢
告げられてみたい時
痛みはそれほど邪魔ではなかった
手持ちが尽き 黙り込み
歌を忘れながらであっても
海のど真ん中で蝶を見た
あれは誰の魂
ざめざめと震え続ける
足取りの無さは何
(c) Mitsuhiko WAKAHARA