ドアノブをまわそうとしたら
肩がゴリゴリと脈打った
末端までびりびりと震えた
その拍子で何かを忘れた
温かいものを食べる予定
手帳にはそう書いてある
時間までにどこへ向かえばいい
つっかけで外へ
駆け出してすぐ道に迷った
見たような景色がえんえんと続く
触れたすべてが生ぬるい
体温がどんどん低い
何かに追われているといま気が付いた
鋭くなる目ばかりどうしてくれようか
鬼だろお前はと柿の木が言った
ああそうだともとなぜ言い返せない