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冬しばき
ドアノブをまわそうとしたら
肩がゴリゴリと脈打った
末端までびりびりと震えた
その拍子で何かを忘れた
 
温かいものを食べる予定
手帳にはそう書いてある
時間までにどこへ向かえばいい
つっかけで外へ
 
駆け出してすぐ道に迷った
見たような景色がえんえんと続く
触れたすべてが生ぬるい
体温がどんどん低い
 
何かに追われているといま気が付いた
鋭くなる目ばかりどうしてくれようか
鬼だろお前はと柿の木が言った
ああそうだともとなぜ言い返せない
(c) Mitsuhiko WAKAHARA