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ミダス
窓枠に祈っても答はない
そんなことも分からずに
不憫と言うにはあまりに不憫で
死んだものはそれ以上殺しようがない
 
全身を銀に作り変えたい
痛覚そのもののような
アンプルの中で揺れている
右心房達へ
 
皿に絵を描く
そこに本来乗せるべきものの絵を
食べる夢を食べている
食べている夢を見ている
 
指をくわえたまま
蛍光灯の下で育った
すべてを取り戻せる日と
すべてから去れる日とを望む
(c) Mitsuhiko WAKAHARA