ある日の夕暮れ
龍がどうしても
この世界を滅ぼすと言うので
残念だけれど好きにすればいい
と僕は言いました
龍がお前は
本当にそれでいいのかと言うので
どうしてそんなことを訊くのと
僕は言いました
僕は
この龍は悩んでいるんだと思ったので
あなたみたいな人でも悩んだりするんだ
と言うと龍は
私は人ではないから
と言いました
人ではないから何だろう
と思いましたが
僕は
人に意見を求めるってことは
人の考え方に近づいているのかな
と思いましたが僕は
何も言いませんでした
夕日は山のむこうに隠れて
西の金色は一段あわくなりました
龍の瞳がうるんでいたので
僕は
力になれなくてごめん
と言った気がします