いま誰が
泣いているのか解からない
傘をさしてる
僕を除いて
用水に
流されていく応募券
プランクトンが
食べると思う
軒下に
猫が駆け込む雨宿り
野良かと聞くと
にゃいと答えた
灰色の
濃霧の中の電柱の
突き刺す方に
どの空がある
消しゴムを
埋めた辺りに草が生え
今の僕には
髭が伸びてる
三角の
日陰の中にうずくまる
そんな真夏が
好きだったのに
水中を
歩くのならと持たされた
鞄の中の
水中眼鏡
うるおせう
るおせうるをせうるおせう
るをせうるおせ
うるおせうるを
正確に
いま降っている雨粒を
数え切れたら
願いがかなう
傘を差し
鉢植えを持ち外に出て
水を吸わせる
靴と花とに
この傘は
いつか盗られたはずなのに
どうして僕の
手にあるだろう
この雨が
やんだら虹が出る方に
命を賭ける
貴方を笑う
雨降りは
交通事故が増えるのに
帰ってこない
花束の人
台風に
おつかれさまと言ってみる
仕事の後の
さわやかな朝