笹の葉に
吊るせし札のその願い
星に届けよ
空は曇れど
扇風機
首振る仕組み考えし
発明家とは
どこの誰よな
「蝉の名に
恥じぬ啼きざま見せまい」と
夏に轟け
命の限り
魂が
震えるような感動も
久しくてない
昨今ですが
海岸を
汚せしごみの幾つかが
我の物かも
知れぬ哀しみ
始発にて
叩き起こされ終電の
あとに寝るらむ
駅横の宿
泣きヶ浜
遠浅の日もまれに有り
誰が為に
鐘を鳴らすやあの寺は
柿食う客の
為にあるまじ
父と母
仲 悪き日に子供たち
親権などに
悩みてもする
「やはり父……
いやここは母……そうすると
転校となる……
……姉の意見は?」
父と母
ここに冷戦 極まれり
さてと宿題
はやく始めむ
一円が
やたら財布に集まりぬ
いかにかしたか
はても不思議ぞ
おお昭和
六十四年の一円ぞ
珍品なれど
やはり一円
夕暮れの
朱と蒼との境い目の
機微な緑を
君は見えずか
人並みに
微笑みさえもするという
テレビゲームに
のめりこめども
ぬくもりを
持たぬ少女の絵姿に
慰められる
心 哀しき
「がんばれ」と
ただ言うよりもふさわしい
言葉を君に
かけてやりたい
ノーヘルで
盗んだバイクで走り出す
オザキの背中を
僕は見ていた