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昔の香り
夏の匂いが鼻先を
くすぐるこんな春の日は
鉛筆 削ったあのころが
やたら うらめしゅうございます
七つの頃と変わらずに
シロツメクサは咲くのです
八つの頃と変わらずに
あおいもむしは はうのです
夏の匂いが鼻先を
くすぐるこんな春の日は
散りゆく桜の木の下が
やたら ふさわしゅうございます
ほほ笑む私にこの次の
笑えるあてなど あるでなく
昔の笑顔のほとんどが
それは いとおしくなるのです
(c) Mitsuhiko WAKAHARA