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鉄橋・鉄塔・鉄条網
駅のベンチで赤んぼ泣き出して
皆が赤んぼの方を見て弱る
若い母親は何も動じずに
歌い始める子守唄「ラララ……」
 
アナウンスが流れる
《白線までお下がり下さい》
皆が席を立ち始める
そして私も行列に並ぶ
 
列車が来るまでの
あと数十秒は
消えそうな歌を
聞いていられるだろう
 
列車がやってきて
人が流れ出る
人が流れ込み
ベルが鳴りドアが閉まる
 
ホームが遠くなる
汽車は河を渡る
鉄橋・鉄塔・鉄条網
どこへ行くと言うのだろう
 
流れていく季節
流れてゆく時間
鉄橋・鉄塔・鉄条網
あの歌の題は何だろう
(c) Mitsuhiko WAKAHARA