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誰も答えられない(皆殺しの海)
殺されるか先に殺るか どちらかだと思った
当時の夢も復讐も もうどうでもいいこと
誰がなんと謝罪しても 胸の傷は消えない
それに誰も悪いなんて 思ったりしないだろう
 
これですべて終わったとは 言い切れはしないけど
いつかみんな許せたなら 懐かしめる歳つき
笑いながら話せる日を 遠くても待ち望む
時が少しずつだけでも やわらげてくれるのを
 
あの当時にできた道の 赤黒い染みの意味
今じゃ誰も何も知らず 踏みつけて通るけど
『みんな死ね!』と叫んだ海 今日も深く広がる
誰も殺さなくて済んで とりあえず良かったよ
 
時は過ぎて人は行けど 風だけは変わらない
同じような波に向かい 声に出し言ってみる
「私はああはならないさ それでいいんだきっと」
(本当にこれでいいのか?) 誰も答えられない
(c) Mitsuhiko WAKAHARA