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流離
気づいた時には雨は止んでいた
僕らはどれだけここに居たのだろう
少しの間のような気もするし
子供の頃からいた気もしてくる
 
雷雲は遥か遠くに過ぎ去り
低くなった日が赤く燃えている
美しすぎると誰かが呟く
動き出さないと日が暮れてしまう
 
生まれて初めて目にする景色を
背後にしながら移動を続ける
立ち止ることで失う時間と
目につく細事に捕われぬ為に
 
生まれて初めて目にする景色の
記憶を僕らは消そうと努める
振り返ることはいつでもできると
自分の気持に嘘をつきながら
(c) Mitsuhiko WAKAHARA