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夜沈
列車が三本過ぎまして
からすがガアガア鳴きました
列車が三本過ぎまして
こうもりぴらぴら舞いました
列車が三本過ぎまして
街は肩の荷軽くして
列車が三本過ぎまして
私の座席はまだ来ない
 
列車が三本過ぎまして
地平が夕日を呑みました
列車が三本過ぎまして
重油が膝まで満ちました
列車が三本過ぎまして
駅はひたひた沈む舟
列車が三本過ぎまして
夜は助けを待ちました
 
 過ぎる列車も無くなって
 ひとつふたつと闇が勝ち
 見上げぞらにはペンライト
 ちかちかちかと手旗です
 
 ここは番地を失って
 友はいっそう御親切
 手紙書きます街じゅうに
 あすの朝には読まれます
(c) Mitsuhiko WAKAHARA